通常の超硬合金は気孔(ポア)を少なくすることが肝要であるが、多孔質超硬合金は超硬合金中に意図的に気孔を均一に分散させたものである。この合金は、マトリックスが超硬合金であり、耐摩耗性に優れることが一般の多孔質合金にはない特徴である。気孔の形状および気孔率は、原料粉末の造粒粉形状、樹脂や無機物などの造孔剤の使用、成形圧力、焼結条件などにより、かなり広範囲に制御出来る。例えば、造孔剤が樹脂の場合、気孔が約19体積%までは閉気孔である。これは密封流体が漏れず、しかも摺動相手のカーボンの損傷を抑止するので、ポンプの軸封止用メカニカルシールリングに実用されている。気孔が連続し通気性がある合金は、空気軸受部品として用いられる。
粉体粉末冶金用語辞典 より
編者:(社)粉体粉末冶金協会
発行所: 日刊工業新聞
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